インプライドボラティリティの計算式

インプライドボラティリティ(IV)は、オプションの価格から逆算して求める市場の予想変動性を示す指標です。オプション取引において、インプライドボラティリティは重要な役割を果たし、オプションの価格が実際の市場変動をどの程度反映しているかを把握するために使用されます。以下に、インプライドボラティリティの計算式とその詳細について説明します。

インプライドボラティリティの計算式

インプライドボラティリティを計算するためには、一般的にブラック・ショールズモデル(Black-Scholes Model)が用いられます。ブラック・ショールズモデルは、以下の式を使ってオプションの理論価格を求めます:

コールオプションの価格(C): C=S0N(d1)XerTN(d2)C = S_0 N(d_1) - X e^{-rT} N(d_2)C=S0N(d1)XerTN(d2)

プットオプションの価格(P): P=XerTN(d2)S0N(d1)P = X e^{-rT} N(-d_2) - S_0 N(-d_1)P=XerTN(d2)S0N(d1)

ここで、各変数は次のように定義されます:

  • S0S_0S0 : 現在の株価
  • XXX : 権利行使価格
  • TTT : 満期までの時間(年単位)
  • rrr : 無リスク金利(年利率)
  • N()N(\cdot)N() : 標準正規分布の累積分布関数
  • d1d_1d1 : d1=ln(S0/X)+(r+σ2/2)TσTd_1 = \frac{\ln(S_0 / X) + (r + \sigma^2 / 2)T}{\sigma \sqrt{T}}d1=σTln(S0/X)+(r+σ2/2)T
  • d2d_2d2 : d2=d1σTd_2 = d_1 - \sigma \sqrt{T}d2=d1σT

インプライドボラティリティの計算手順

  1. オプション価格の取得: 市場で取引されているオプションの価格を取得します。これはコールオプションまたはプットオプションの価格です。

  2. 必要なパラメータの設定:

    • 現在の株価 S0S_0S0
    • 権利行使価格 XXX
    • 満期までの時間 TTT
    • 無リスク金利 rrr
  3. ブラック・ショールズモデルを使用してボラティリティを逆算:

    • 上記のブラック・ショールズモデルの式に、取得したオプション価格を代入し、ボラティリティ σ\sigmaσ を求めます。ここで、ボラティリティは通常、数値的な手法(ニュートン・ラフソン法など)を用いて逆算されます。
  4. ボラティリティの計算:

    • ニュートン・ラフソン法や他の数値的手法を用いて、オプション価格が市場で観測される価格に一致するようにボラティリティを調整します。このプロセスは、適切なボラティリティの値が得られるまで繰り返し実行されます。

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例えば、次のパラメータが与えられたとしましょう:

  • 現在の株価 S0S_0S0 = 100ドル
  • 権利行使価格 XXX = 105ドル
  • 満期までの時間 TTT = 30日(約0.082年)
  • 無リスク金利 rrr = 2%(0.02)

市場で観測されたコールオプションの価格が10ドルとします。この価格をブラック・ショールズモデルに代入し、ボラティリティ σ\sigmaσ を求めるためには、数値解析の手法を用います。

ボラティリティの意味とその重要性

インプライドボラティリティは、将来の価格変動の予測を反映しています。ボラティリティが高い場合、価格の変動幅が大きいと市場が予想していることを意味し、逆に低い場合は価格の変動幅が小さいと市場が予想していることを意味します。投資家やトレーダーは、この情報を基にリスク管理や投資戦略を立てることができます。

まとめ

インプライドボラティリティは、オプション取引における重要な指標であり、オプション価格を逆算することで計算されます。ブラック・ショールズモデルを使用して理論的な価格を求め、実際の市場価格と照らし合わせることで、ボラティリティを求めることができます。ボラティリティの変動を理解することで、より効果的な投資戦略を構築することが可能になります。

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