インプライド ボラティリティの計算方法
インプライド ボラティリティとは?
インプライド ボラティリティ(IV)は、オプションの価格から導き出される未来の価格変動の予想値です。これは市場の期待を反映しており、オプションのプレミアム(価格)を決定する要素の一つです。IVは、過去のボラティリティとは異なり、将来の価格変動の予想を表します。
インプライド ボラティリティの計算方法
インプライド ボラティリティの計算には、以下のステップが含まれます。
1. ブラック-ショールズモデルの理解
ブラック-ショールズモデルは、オプション価格を算出するための数学的モデルであり、以下の要素を基にしています。
- 基礎資産価格(S):オプションの対象となる資産の現在の価格。
- 行使価格(K):オプションが行使される価格。
- 残存期間(T):オプションの満期までの期間(年単位)。
- リスクフリーレート(r):無リスク利率。
- ボラティリティ(σ):資産の価格変動の幅。
ブラック-ショールズモデルによって、オプション価格(C)は次の式で計算されます。
C=S⋅N(d1)−K⋅e−rT⋅N(d2)
ここで、d1とd2は以下の式で計算されます。
d1=σ⋅Tln(S/K)+(r+2σ2)⋅T
d2=d1−σ⋅T
N(x)は標準正規分布の累積分布関数です。
2. インプライド ボラティリティの逆算
インプライド ボラティリティは、上記のブラック-ショールズモデルの式を用いて、実際のオプション価格からボラティリティを逆算することによって求められます。このプロセスは一般に「ニュートン-ラフソン法」などの数値的手法を用いて行われます。
手順としては以下のようになります。
- 市場価格の収集:オプションの市場価格(C)を取得します。
- 初期ボラティリティの設定:例えば、0.2(20%)などの初期ボラティリティを設定します。
- ブラック-ショールズモデルでオプション価格を計算:初期ボラティリティを使って、ブラック-ショールズモデルでオプション価格を計算します。
- 価格の差の計算:市場価格と計算価格の差を求めます。
- ボラティリティの修正:価格の差がゼロに近づくようにボラティリティを調整します。このプロセスを繰り返し、収束するまで行います。
3. 数値的手法の使用
IVを求めるためには、数値的手法が必要です。以下のような方法がよく使われます。
- ニュートン-ラフソン法:反復的にボラティリティを調整し、価格の差を最小化する方法です。
- ブレント法:数値的に安定した方法で、より広範囲の初期値を試しながらボラティリティを求めます。
インプライド ボラティリティの実用例
インプライド ボラティリティは、オプションのトレーディング戦略において非常に重要です。たとえば、IVが高い場合、マーケットは将来の価格変動を大きく見込んでいると解釈されます。これに対して、IVが低い場合は、価格の変動が少ないと予測されていることを意味します。トレーダーはIVを活用して、オプションの価格を評価し、取引のタイミングを見極めます。
インプライド ボラティリティのグラフ化
IVを視覚化するために、以下のようなグラフを用いることがあります。
- IVスキュー:異なる行使価格に対するIVの変化を示すグラフです。
- IVクラッシュ:特定のイベント後にIVが急激に変動する現象を示します。
まとめ
インプライド ボラティリティの計算は複雑ですが、ブラック-ショールズモデルを基にした数値的手法を用いることで、比較的簡単に求めることができます。IVはオプション市場の動向を把握するための重要な指標であり、取引戦略の構築に役立ちます。今後の取引においては、IVの理解と計算方法を習得し、適切な取引判断を下すことが求められます。
人気のコメント
現在コメントはありません